現在まで急速な拡大は見られないですが、微小地震の解析では今日も活動域が拡大傾向となっていて、11月8日と9日だけでも合計700回超の地震を検出しています。
三陸沖北部の領域は元々活発化な領域で、海溝寄りで地震が多発した事例は過去100年でも何度か確認されています。現在活発化している領域で発生する地震の特徴は、大規模なスロースリップを伴った地震が発生することです。通常の地震とは違って急にずれ動くのではなく、ゆっくりと長く滑りますので、強い地震でも地震動は比較的小さいのですが、その分揺れの継続時間が長くなります。実際にM6.9の地震でも長く感じたという人も配信でもコメントは見られました。
今後考えられる可能性を以下としてまとめました。
- 【1】このまま収束していくケース
- 【2】M6.9と同程度以上の大地震が続発する可能性
- 【3】M8程度以上の巨大地震に発展する可能性
地震活動の推移として最も多いのは1番のケースです。このパターンの場合は、10日17時3分の地震が本震として、徐々に収束していくことになります。ただ、今回の活動は異常な点も多く、危険なパターンについても考慮したいと思います。
M6.9と同程度以上の大地震が続発する可能性
三陸沖北部では過去に同程度以上の地震に発展した事例があります。その中でも最近の活動は1989年と1992年の地震です。
1992年の事例では、7月18日にM6.9という大地震が発生したのですが、その10日程度経過した後に今度は少し北側にいった領域でM6.3の地震が発生しました。
1989年には10月29日にM6.0。そしてその2時間後にM6.5と続いた後、4日後にM6.0や6.5の地震が発生した北西側の領域でM7.1とより規模の大きな地震に発展しました。
このように続発事例が確認されているため、暫くは注意が必要となります。
M8程度以上の巨大地震に発展する可能性


次は最悪のケースです。現在活発化している領域はプレートの固着が強く、膨大なひずみを溜めやすい領域に位置していて、実際に過去にM8以上の巨大地震が発生した領域にもなります。巨大地震の事例としては、1896年に発生した明治三陸地震です。
明治三陸地震の特徴としては、海溝寄りで発生した比較的浅い場所で発生したプレート間地震とされていて、上記でも説明した通り、地震動は比較的小さいのが特徴です。上の図を分かると思いますが、地震の規模はMw(モーメントマグニチュード)8.5という巨大地震ですが、震度は4とかなり小さめです(現在は5弱~5強くらいいくかもしれません)。
でも、津波は最大38mの高さにま遡上したとされています(プレートの境界における浅い場所でMw8.5という巨大地震だったので、大津波が発生)。
また、活動域の少し南側では2011年3月9日のMw7.3をきっかけに、2度目のスロースリップイベントが発動して活動が悪化。最終的にMw9.0-9.1という超巨大地震「平成23年東北地方太平洋沖地震」へと発展する事例が確認されています。
今回の活動域はちょうど明治三陸地震の震源域と重なっていて、その領域で大き異常とも言える地震活動となっていて、東北地方太平洋沖地震の割れ残りエリアとして指摘されていることも考慮し、警戒レベルは最大の「3(特別警戒)」として評価しています。
質問
今回の地震を受けて、「何度も地震が来ればひずみを逃しているのではないか?」という内容の質問がありましたので、ここでも記載しておきます。
「確かに地震が何度もくればひずみは解放されるのですが、小さな地震が何度もきたからといってひずみが完全に解消されるわけではない」というのが回答です。分かりやすい例としては、マグニチュードです。マグニチュードは地震の規模を対数で表現されるので、M8の地震はM7の地震が32回分に相当します。つまり、いくらM5~6程度の地震が頻発しても、巨大地震とされるM8以上に相当するひずみを解放するには単純計算で1000~32000回以上発生しなければ解消には至りません。
むしろ異常な活発化は、大地震に発展される原因の一つになってしまいます。
地震の基本についてはこちらを参照。


コメント